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開業体験談 Vol.36「アイデアをビジネスに!皆が活気ある企業でいたい」

mizutani.jpg今回は、(有)ナイス オーナー、
水谷英俊氏の独立開業体験談を紹介させていただきます。
開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

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PROFILE

水谷英俊/Hidetoshi Mizutani 
(有)ナイス オーナー 
昭和47年1月8日 生まれ O型 

東京都生まれ。33歳で独立。
海外の経験を活かし、在職中にも色々なヒット商品を炸裂!パワフルにあふれるアイディアのため会社社長も手に負えず(笑)独立!まだまだこれからどんな楽しい事をしてくれるのか、期待○な元気いっぱいなオーナー様です。 
2005年9月に徳島市で開業。 
座右の銘は、「Keep your smile!!」
趣味は「サーフィン」

COMPANY

(有)ナイス 
徳島市助任橋1-24-1ウィズビル2F
TEL.:088-602-0836
営業時間:AM10:00〜19:00
定休日:無休

亜細亜大学を卒業されてからの経歴、職歴を教えてください。

photo1.jpgしばらく旅行業界にいました。東京、ハワイ、アメリカなどで、営業や添乗員、ガイドをしていました。4〜5年くらいですね。そのあと徳島に来ることに。なぜなら嫁さんが徳島出身だったのでね!徳島ではブライダルコアときわに8年くらいお世話になりました。嫁さんが某出版社に勤めていた関係で、そちらの社長さんからブライダルコアときわさんを紹介してもらって就職しました。ときわさんが海外挙式に力を入れたいということで、僕がそれまで海外でウェディングの仕事をやっていた経歴を買っていただいたんです。ときわさんも衣装だけではなく、海外挙式とかウェディングパーティとか、当時まだはしりだったレストランウェディングなんかを手掛けていこうとしていた時だったんですね。
当時、ホテルで盛大に披露宴をするのが主流でしたから、”ジミ婚”なんて言われていましたけどね。JTBさんなどのような旅行会社とときわさんのようなブライダル会社がやることのミックス、海外の教会、チャペルでの挙式を企画したりしました。(商品として)たくさんヒットしましたよ。海外にも行かせてもらいました。以前から付き合いのあったハワイの手配会社があったんですけど、そこは衣装も持っていましたので、ときわさんでも同じ衣装を置くという、日本でもまだ珍しいシステムでしたけど、それを採用しました。
例えば海外挙式をされる方が、ときわさんで衣装合わせをして「サイズは9号で、ウエストをちょっと詰めて」という注文を現地の手配会社に連絡するわけです。あとは挙式の時に現地に行けばいいだけです。これで現地での衣装合わせが無い分大幅に時間短縮できますよね。ときわさんも向こうで家賃を払わなくていいし、ハワイのほうはお客さんが来てくれるわけですから。双方にメリットがある。僕も前職のコネクションをたくさん持っていましたから、現地でも融通が利きましたし、その頃の海外挙式ブームにも乗って、まさに破竹の勢いでわーっ!っと(笑)

独立のきっかけはなんだったのでしょうか?

photo3.jpg911のテロがありましたよね。その後、海外挙式が激減したんですね。すぐに復活するかなと思っていましたが、あまかったですね〜あのときは海外挙式がブームで、少し加熱し過ぎていたんですね。そこでもう一度自分の仕事を見直してみようと。その頃、写真に興味を持っていたんですが、前写しですね、これに県外の僕が知っているカメラマンとか、コマーシャルフォトグラファーを起用して、ブライダル色をつけてと、少し方向性を変えてみたりしました。独学ですけどときわさんには写真の勉強をさせてもらいましたし、カメラも買ってもらいましたよ。 並行して、ハネムーンの販売もやっていました。旅行会社は土日閉まっているし、詳しい話が聞けなかったりするじゃないですか。アメリカ、オーストラリア、バリなんかであれば様子も分かっていますし、お客さんの要望に応じて、パッケージではないものを組んだり、その方に見合ったオプションを付けてあげたり。当時はハネムーンの数が四国でナンバーワンだったんですよ。運輸省で免許を取るんですけど「ときわってなんだ?旅行会社なの?」みたいな(笑)この頃からですね。今の自分の仕事の原型ができてきたのは。

前から独立したいと思っていたんですか?

そんな思いはなかったんですよ〜ときわの社長さんとの話の中で「この事業は伸びるだろうか」というのがあったんですね。ときわさんの中では僕は1人でやっていたんですけど、やはり人手が足りないと。カメラマンにしても4人くらい欲しかったんですね。僕の中にも次々にアイディアが浮かんできていて、あれもこれもしたい!と思っていて・・・でも社長さんははっきりとは言わなかったんですけど「おいおい手に負えんぞ」っていうのがあったんじゃないですかね(笑)あ〜今でも社長さんとは飲みに行きますし、仕事もたくさんいただいていますし、親しくさせてもらっているんですよ。(笑)ときわさんがお金を掛けて、人を割いて、この仕事をやると言っていたならば、僕は独立していないと思いますよ。僕にあるのは「こんなのをやったら絶対喜ばれるだろうな〜」それだけです。独立したことも、別段、周りに驚かれることもなかったですし。違和感なくすーっと、ときわさんの中でやっていた仕事を、そのまま外でやるようになったという感じです。

では資金調達について教えてください。

photo4.jpg親にも少し借りましたが、自己資金で300万円くらい用意しました。物件の敷金が3ヶ月、礼金はなしです。このビルのオーナーさんがこだわりを持った方で、ちょうどお洒落なデザイン事務所に入って欲しかったようなんですね。僕は直接の知り合いではなかったんですけど、某出版社の社長さんに紹介していただいて、広々としたフロアに壁やフローリングの内装も含めて、破格の条件で貸していただいたんです。実際のところ、店舗の改装費なんかは掛かっていないです。 
設備については、当時、従業員が二人でしたから。パソコン2台、プリンタ2台、FAX1台、全部で120〜30万円くらいだったと思います。おおかた、もともと持っていたものを持ってきていましたし、県の助成金を利用したんですよ。これは今もあるなら絶対使った方がいいと思いますよ。開業してから3ヶ月以内に買った物の費用の1/3を負担してもらえます。敷金、礼金は対象にならないんですが、内装費や、花や植木、テーブル、パソコン、テレビなどの備品全て大丈夫です。ただ、雇用保険に何年以上入っていたとか、1人以上は正社員がいるとか、その程度の条件はあって、年間の予算がなくなり次第終了ということでした。助成額としては200万円が上限だったんですが、うちは180万円の助成を受けましたよ。これがなかったらきつかったですよ。助成を受けられたことによって、仕事の幅も広がりました。

開業当時の売り上げはどうだったのでしょうか。

開業前からやっていた仕事ですから。今までの取引も引き続きありましたし売り上げは立っていましたので、その点の心配はありませんでした。ときわさんでは僕1人でやっていたことだったので、そのまま持って出てきたわけですね。今振り返ると少ないですけど、当初からお金の動きがありましたから、従業員の給料も払えましたし、手応えは充分という感じでした。ゼロから営業しなければという苦労は開業当時からなかったですから。でもその分、精神的に大変でした、組織から出たということでね。100件成功しても、1件間違えたらゼロ、マイナスになる業種ですから気は使いましたね。組織の中にいる時なら、まぁまぁまぁで済むことも、ひとたびミスが出てしまうと来なくなるんですね。

やめたいなと思ったことはありますか?

それはないですね。お客さんさえ納得してくれたら、喜んでくれたら、あとはうまいことPRできれば成功すると思っていましたから。ある程度のラインに達してから独立したので、初めてやる仕事ではなかったですし、それは良かったですね。有り難いことに前会社のお金で勉強させてもらっていたわけですよね。センスや正確さが必要な仕事ですし、そういう点ではまだまだ余地はありましたが。一度軌道に乗せられれば、あとは割と安定していけるわけですから。広告・宣伝はしていないんですよ。逆に外からの圧力を受けたくなかったので、極力PRを控えていたところはありましたね。

辛い時をどのようにして乗り切ってこられたのでしょうか。

楽しかった、よかったというお客さんの声ですね。自分たちがやっていることは間違っていないんだ、と。僕らは結婚式を毎週やっているわけなんですけれども、お客さんにとっては一生に一回のこと。その時のために、がーっと一生懸命、「任しとけ!」とテンションあげてやりますよ。お客さんも本当に喜んでくれます。

開業して感動したことや、よかったことはありますか?

良きチーム、良きメンバーに恵まれたことです。1人でやっていると、辛い時は本当に辛い。仲間がいれば辛いことは半減、楽しいことは倍増ですね。高松も入れたら、役員を含め11名なんですが、今残っているメンバーは最強ですよ。最初は2名からで入れ替わりはありましたが、自然と集まってきたメンバーです。社員というより仲間ですね。

成功したポイントは何でしょう?

photo2.jpgやはりアイディア勝負。そのアイディアをビジネスにつなげていくことだと思います。すきま産業はすきま産業ですけど、そんな中でやるにしてもいつも自分に問うことですね。自分だったらこれやる?やらない?と。地元の企業を見ていると閉じている感があるように思います。外からの参入があって切磋琢磨する空気や活気が出るといいですよね。県外を見ている者は、揉まれてきていますから強いですよ(笑)

独立する人へ一言お願いします。

1人ではやらないこと!みんなでやるから楽しい。最初は「飯が食えたらいい」というくらいで始めるんだけど、やるからにはね、自分が輝けるように。肩書きが付いていてもひとたび外に出ればそんなのは関係ないわけです。そういうものにしがみつく自分は捨てて「こいつがここにいたらおもしろくなる」と、そんな采配が振るえる自分でいたい。最後に「税金、高いよー!」(笑)