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開業体験談 Vol.41 「退職後、我が子とのふれあいの中で」

aya.jpg今回は、リサイクルショップa・ya(エイヤー)共同オーナー
湯浅真由美氏の独立開業体験談を紹介させていただきます。
開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

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PROFILE

湯浅真由美/Mayumi Yuasa
リサイクルショップa・ya(エイヤー)共同オーナー 
昭和31年7月9日 生まれ B型 

阿南市生まれ。43歳で独立。 
2000年4月に徳島市山城町で開業。
仕入れのバランスの難しいリサイクルショップですが多才に経営。お客様の暖かい声と子供達の成長を糧に、夫婦二人三脚で頑張っていらっしゃいます。
座右の銘は、「Tomorrow is another day」 
好きなことは「漫画を読む」

COMPANY

リサイクルショップa・ya(エイヤー) 
徳島市北常三島町3-40
TEL.:088-657-6226
営業時間:AM10:00〜19:00
定休日:無休

アンケートの中に徳島大学を中退とありますが、何か夢や思いがあってのことだったのでしょうか?

違います。行きたい学部とは違う学部に行っていたんですね。よく言えば真っ直ぐ、悪く言えば融通が利かない性格ですから(笑)、希望した学部ではないということに我慢ができなくなってしまったんです。その後は転職を何回かしましたけど、職種はずっと同じ、事務員をしていました。一般事務とか営業事務、経理事務などです。結婚した後も、このお店をオープンするまでは勤めていましたので、20年余りやっていたことになると思います。

独立しようと思ったきっかけは?

photo1.jpg主人が発端なんですよ〜。自分で何かやりたいということで、私に相談する前に退職してきてしまったんですよ。彼の頭の中では、夫婦でやるのが前提でしたから、私も一緒に。

なぜリサイクルショップをすることになったのですか?

主人が独立するということを決めた時、どんなことをどこでどうやってとか具体的なことを考えていたわけではなく、とにかく何かをしたいということで先に会社を辞めたんですね。何をしようかと考えたのは辞めた後になるんですけど。当時、下の子が保育園、上の子が小学2年生でしたが、仕事を辞めて子供と過ごす時間が増えたことで「子供って結構服を汚すんだな・・・」というのを実感したらしいんです。サラリーマンをしている時は、子供と触れ合うことも少なかったですからね。それまで私が「親戚から服をもらった」と言っても関心を示すことはなかったのに、自分なりに子供服の買い取りのシステムのことなんかをいろいろ調べたりして、商売にできないかと考えるようになったんです。

ご主人はリサイクルに関係する仕事をされていたのでしょうか?

いえいえ、それまでは食品関係の仕事で、育児とか子供服とかとはおよそ縁遠かったんです。でも独立する時には、今までとはぜんぜん関係のない業界、職業で一からしたいと考えていたようです。

ご主人が独立されるとき、ご自分は事務員のまま勤めようとは考えなかったですか?

実は主人と同じ職場だったので、1人残るのもどうかと・・・(笑)漠然とはしていましたが、私にも何かやりたいという思いがなきにしもあらず。やってみたいという気持ちはありましたから。

当初は山城の店舗でされていたんですね。資金調達はどのように?

photo2.jpg今はもうこの制度はないんですけど、徳島県の起業支援の施策があったんですね。「独立してこんなことをやりたい」という申請をして採用してもらえると、それに対して県の支援を受けられるというものでした。私達も資料や企画書を提出して、幸いなことに第一号に認定されましたので、資金援助は元より、オープンまでのアドバイスなどもしていただきました。負担割合とか上限は決まっていたと思います。例えば、チラシを作った請求書を提出すると、県から業者さんへ相当分を支払いしてくれるという感じですね。あとは親戚のおじさんに出資してもらったり・・・無謀だった感はあります(笑)貯金もなく、計画もないまま会社を辞めてしまったわけですから。 
銀行からも300万円くらい借り入れをしています。物件については、家賃が1ヶ月約36万円、敷金が3ヶ月でしたが、礼金は必要ありませんでした。なので大家さんには全部で150万円くらいお支払いしました。店舗の改修に250万円、設備と備品に100万円で、総額500万円くらい掛かったと思います。仕入れは手持ちのお金で。

開業時の売り上げはどうでしたか?

オープンしてから半年後くらいから、タウン誌に取り上げてもらったり、取材を受けたりして、1年目くらいまでは伸びていくのを実感しました。大規模な子供服のリサイクルショップが初めてできたということで評判にもなりましたけど、オープンから半年ぐらいの間は、売り上げが拡大し始めるまで不安でしたね。最初の何ヶ月かは、借りたお金がどんどん少なくなっていきましたし、心配でした。1年目〜2年目くらいになると伸びも落ち着いてきて。前年対比で良くしようと思うとなかなか難しかったですね。ちょうどその頃くらいから、同じようなリサイクルショップができたり、西松屋さんとか安い子供服のお店ができたりしてきましたので。それに対抗するのに苦労しました。

山城の後、こちらに移転されたんですね。比較してどうですか?

3年3ヶ月、山城にいました。それを2003年の7月でいったん閉めて、こちらには2003年の12月に移ってきました。ここは最初のお店の3倍くらいの広さがありますけど、以前はブティック、ここは倉庫のような感じなので、家賃はそう変わりません。経費でも増えたものもあれば減ったものもあったりでやり繰りしています。 
隣に徳島市民病院の新病棟が完成し、場所の説明がしやすくなりました。人の動きもかわると思うので、来客数UPに結びつけたいですね。

たいへんだったこと、辞めたいと思ったことはありますか?

開業当初は、商品が揃わなかったらどうしようと心配しましたし、競合店ができて売り上げが下がれば、それもまた不安になりましたし。毎年、毎年、同じことをやっているだけでいいのかなと思ったりもします。でも続けていきたいという気持ちの方が強くありますので。

たいへんな時期をどのようにして乗り越えてこられましたか?

今もあがいていますが(笑)お客様が「続けてよ〜。助かるわ〜」と言ってくれるから、その言葉に励まされています。

リサイクルショップで難しいところは?

photo3.jpgやっぱり仕入れのバランスかな〜。買いに来る人が欲しがっている商品がどれだけ入ってくるのか、誰がどんな商品をいつ持ってきてくれるか分からないわけですから、仕入れは安定しません。欲しい商品がなかなか入らずに、同じ商品ばかりが集まる、そんな場合の調整が難しいですね。まだ使えると持って来てくれたら、商品としての値打ちはあるわけですし、要らないとは言えませんよね。こういうとき新品を扱うお店だったら、必要な商品だけ発注すればいいので楽なのかなと思ったりもします。売れそうな商品のサイズ違い、色違い、と発注できますし。あと、リサイクルだと、汚れがある場合もありますので、クリーニングや修理などですぐにはお店に出せなかったりします。

開業して良かったことはどんなことでしょう?

まず第一にお客様に喜んでもらえることです。お客様との出会いも大切な財産ですね。赤ちゃんだった子が小学生になって「こんなに大きくなったよ」と言ってまたお店に来てくれると、続けてやっているとこんなこともあるんだなと嬉しくなります。あとちょっと手前味噌になりますが、うちの子供達が「勿体無い」と思う気持ちを持っているのは、私達がやっている仕事を通して、「物を大事にしないといけない」「何でも簡単に捨ててはいけない」ということを伝えられているからだなと思えることかな。

成功したポイントは何でしょうか?

いまだに苦しいことと嬉しいことの両方があるのでプチ成功?(笑)今までにない形を作ったということと、独立する前にしていた仕事の技術や知識、例えば数字を扱ったり、企画をしたり、接客をしたり、それらをいろんな場面で生かせたこと、でしょうか。今まで培ってきた人間関係もありがたいですね、みんなに協力してもらって、ずいぶん助けられました。よくゼロからの出発と言いますが、私達はマイナスからの出発。この業界でのキャリアもありませんでしたが、なんとか8年やっていますから。起業したのは遅かったんですが年齢ではないなと。やりたいという気持ちと、めげない気力があれば大丈夫だと思います。

これから独立する人へメッセージをお願いします。

計画性も必要ですし、預貯金も必要(笑)でもそれがないからできないということではないですよ。苦労だと思ったことを後で笑えるように、こんなにしんどかったんだよと笑って言えるようになりたいと思っています。発想の転換と、強く思う気持ち、これも必要ですね。