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開業体験談 Vol.9 「店主のお客さんへの真摯な態度が育んだ信頼と料理」

teduka.jpg今回は、進料理屋葉炭オーナー、
手塚進氏の独立開業体験談を紹介させていただきます。
開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

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PROFILE

手塚進 / Susumu Teduka 
進料理屋葉炭 オーナー
昭和45年12月20日 生まれ A型

徳島県鳴門市生まれ。32歳で独立。
幼い頃から生活の中で料理に親しみ、料理の道を志す。義父が亡くなったことをきっかけに独立。
2003年3月に徳島市栄町で開業。
好きなタイプは、「夏目雅子」

COMPANY

進料理屋葉炭
徳島県徳島市栄町一丁目15-3 TKB4F

卒業されてからの職歴・経歴をお願いします。

卒業してすぐ、大阪のふぐ専門店で1年ほど仕事をしていました。その後、徳島に戻ってきて、居酒屋で2年、建築関係の仕事を3年、活け魚料理店で3年仕事をしました。それから、創作料理店の店長を5年しました。

独立のきっかけはどのようなことでしょうか?

中学生の頃から、料理の道で開業するというのが夢でした。ですから、大阪のふぐ専門店に就職することにしました。

なぜ、料理の道で開業しようと思われたのですか?

photo2.jpg自家製ポン酢に使うすだちは 店主自ら山で採っている。僕の育った所は漁師町なので、小さい頃から魚をよく食べていました。また、家が貧しかったので10歳頃から自分で料理を作っていたのです。だから料理に興味がわいたのです。
僕が小さい頃、両親が離婚をして母子家庭だったのです。だから給食のない時は、自分で作って食べていたのですよ。そうしているうちに、料理を作ることが好きになったのです。母が仕事から帰ってくる前に買い物をして、昼はもちろん夕食も作っていました。

それでは、独立時の資金調達は、どのようにされたのですか?

photo3.jpg僕は一文無しだったのですが、保証人になってくれる方がいたのです。その方は、店のお客さんだったですが、以前から「何かあったら言って来いよ」と言ってくださっていました。
その頃、ちょうど離婚したり、仕事が不安定になったりで全くお金が無かったのですが、義父が亡くなることにより独立の決心がつきました。本当は、義父が生きているうちに独立したかった。義父は病気で入院していたのですが、仮退院した日に僕が店長をしていた時の店に来てくれて、ビールをコップに半分と、僕が作った料理を食べ「あ〜〜うまかった〜」とうれしそうに言ってくれたんです、でもその翌日に様態が急変し亡くなってしまいました。だからずるずると引き延ばしになっていた独立は、義父が亡くなることで決心がついたのです。今の僕があるのは義父のおかげだと思います。そしてそれは僕が32歳の時でした。それで資金を準備して独立すれば良かったのですが、その前に仕事を辞めてしまいましたから大変でした。実家も金が無いし、銀行にも取引がありませんでした。でも、知り合いからお金を集めたら100万円位にはなるだろうから、たこやき屋ぐらいはできるだろうと思っていました。
そのような時、色々お世話になっていて人間的にも尊敬していた先生(医師)のところに、「自分は独立するようになりました」と挨拶に行ったのです。その時、「よし、分かった。任せてくれ」と保証人を引き受けてくれました。こちらから頼んでいないのに快く引き受けてくださり、本当にありがたいことでした。それで銀行から借り入れることができたのです。

幾らぐらい借り入れできたのですか?

500万円です。他に内装の仕事をしている兄から170万円借り入れしました。「どうせだったら納得のいくものにしたらいい」ということで借してくれました。金額的には無理だったのですが、設計士も入れないで、個人で大工を呼んだりして経費を削りました。

内装や初期投資には幾らくらいかかりましたか?

そうですね、仕入れなど全て入れて500万円位掛かりました。家賃なども家主さんが良心的で、とても助かりました。

創業期の売り上げはどうでしたか?

最初は悪かったですよ。生きた心地がしませんでしたね。1年くらいは自分の給料も出ませんでした。しかし、年々売り上げは上がってきて、今も少しずつ上がっています。

創業時は大変だったということですが、やめたいと思ったことはありませんか?

それは一度もありません。

では、どのようにして乗り切られましたか?

それは気合ですね、気合しかありませんでした。また、乗り切ろうという思いからではなく、毎日「どのようにしたら、より良いものが提供できるのか」と考えていましたね。運営するための宣伝方法などを常に考えています。だからメニューや値段設定なども、この5年間に随分変わりましたね。

開業して良かったと思うこと、また感動したことはありますか?

やはり充実感があるし、開業したことで次の目標が広がりました。今まで苦しい思いをしてやってきましたから、1年1年、節目節目が感動ですね。また、お客さんや業者さんなど関係者の方々が助けてくれ、支えてくれる、その気持ちに心打たれます。

では次の目標は何でしょう。

photo1.jpg和食にこだわらずお客さんが安心してくれる食材で、安くおいしく提供できる店作りをしたいですね。そしてそれを店舗展開することができたらいいと思っています。この頃は温暖化や海の食材が減っていますし、環境が悪化していますから、いいものを安く作れたらと思いますね。

成功したポイントは何だと思いますか?

気合じゃないですか(笑)そして、プラス思考でこつこつやることです。前向きにならなければ絶対無理です。あとは、無駄なお金は使わないこと、賭け事などは絶対しないことです。無駄な支出はしないことが一番大事です。

これから独立される方へ一言。

気合を入れて(笑)、夢を持って、目標を持っていくと必ず思い通り人生が歩めると思います。