e-mise_bill.jpg

開業体験談 Vol.10「生活のため友達一家全員をカットしたり…今の原点です」

hasegawa.jpg今回は、ハーティヘアー代表の
長谷川信氏の独立開業体験談を紹介させていただきます。
開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

title-copy.gif


PROFILE

長谷川信 / Daisuke Hasegawa 
ハーティーヘアー 代表取締役 
昭和38年11月22日 生まれ AB型

徳島県つるぎ町生まれ。41歳で独立。
高校卒業以来、現在まで美容師一本で歩む。一時期、自分の将来について悩むが、やはり美容師での独立を志す。
2005年8月に徳島市南昭和町で開業。
座右の銘は、「誰かの為にキレイになりたい女性を応援したい」

COMPANY

ハーティーヘアー
徳島県徳島市南昭和町5丁目62-2
TEL.:088-625-1626
営業時間:AM10:00〜PM8:00
定休日:月曜日

職歴を教えてください。

高校卒業以来、ずっと美容師です。それ一本ですよ!

では独立のきっかけは?

自分は何がしたいんだろう?美容師を続けていくべきなのか?と一時期ずっと悩んでました。特に独立したいという気持ちもなかったのですが、ふと退職まであと15年なのか〜このままでいいのか?と考えもしたり、その他、本当に色んなことが重なりすぎて会社を辞めてしまったんです。で、何をしようかと悩み迷っていたときに、やっぱり自分には美容室しかないと思い独立しようと思い立ったのです。

そんな中、資金はどのような状態でしたか?

photo2.jpg貯蓄はゼロに近い状態でした。しかし銀行から父親名義で借りることができました。早速、物件を決めデザイナーと店の内装を相談し、「おしゃれな店になるだろうな〜」とうれしく思いながら店舗の建築をやっている最中、父親が体調不調で入院!そのため銀行からの融資を受けられなくなってしまいました。すでに店舗の建築も始まっているのに、どうしたらいいんだろうと・・・建築業者さんには、「本当にお支払い大丈夫ですか?こちらから銀行をご紹介しますよ」と心配されたりしていました(笑)。そこで美容組合に推薦状を書いてもらい、銀行へ行きました。「どこでお店をされる予定ですか?」と聞かれ、住所を言うと、「もうお店作ってますよね?」と言われて、見切り発車だったのがバレてしまって(笑)。それからは何度も銀行に通い、誠意をアピールし、職歴をはじめ、企画書、マーケティングに関する書類もたくさん提出し、組合長の口添えも頂いて、母親名義でなんとか貸してもらえました。しかし父親は病気で、母親も趣味程度の自営業をしていただけなのに、よく貸してくれたなぁ、と今では思います。余談ですが、退社してから開業するまでの数ヶ月間、生活をしていくために、友達の家に行って車庫をお借りして一人1000円で家族全員をカットしたりしていました。シャンプーは本人にお風呂場に行って洗ってきてもらったりして・・・今から思えば楽しかったし、なんとかなるもんだと自信も付きました。今の仕事の原点はそこにある、と思います。

物件はどのように探しましたか?

はじめこの物件は少し高くて借り手がなかったらしく、大家さんと不動産屋との間で家賃を下げましょうかという話をしていたらしく、ちょうど家賃を下げた瞬間に私がタイミングよく電話をしたらしいんです。そこですぐ契約が決まりました。希望の金額で借りられるのは良かったのですが、電話だけでは不安なので、直接会ってから・・・と言ったのですが「声を聞いただけで人柄の良さはわかる」と(笑)言われ後日契約にいきました。本当にありがたかったです。

内装はどのように進めていきましたか?

デザイナーが作ってきた見積もりがすごく高かったので、できるだけデザインは崩さずに、半額ぐらいにしてもらう方法を考えてもらいました。でももとあった店舗を全部壊して基礎から作り直したりしたので1000万ぐらいかかってしまいました。

開業当時の売上げは?

知人20人位が私の独立開業を知っていただけなので、けっこう大変で、月50〜60万ぐらいの売り上げでした。

創業時の苦労は?

激戦区だったのに、リサーチせずに直感だけで開業してしまったことかな?開業前の資金繰りは大変でしたが、半年後には急に売り上げが上がってきました。最初はどうやりくりしていたんだろう?と今になって思いますが、なんとかやってこられましたね。

急に売り上げが上がったポイントは何だったんですか?

photo1.jpg新規のお客様を獲得するためにヒットメニューを作ろうと思い、開業後半年間はそればっかり考えていました。そこで「マジックラブストレート」という、ストレートパーマのモテ髪メニューを考案したんです(笑)。通常12,000円ぐらいするものなのですが、半額以下の4,500円という超低価格で打ち出し、恋が実るという人気の石もプレゼントしていたんです。地元各タウン誌に紹介してもらったこともあり急に新規のお客様が増えましたね。ほんとにその時はヒットしていましたね。その後、年配のお客様も「マジックラブストレート」はさすがに口にするのが恥ずかしいのか「マジックストレート」と勝手に(笑)名前を変えてご注文いただいていた程人気メニューになっていました。

ではその後は着々と売り上げを伸ばしていたんでしょうね?

いやーそれがそれほど甘いものではなくて(笑)。低価格で提供するために原価を下げたのがよくなかったですね。お客様が定着しなかった。そこで、目先の利益のために質を落としてはいけない、と痛感しました。今は高級感とか、質を上げるということを意識した店作りをしています。

そのピンチはどう乗り越えられましたか?

それからは広告でも低価格だけをアピールすることは一切やめて、少々高くても高品質なものだけを提供するようにしたんです。そうするとまたお客様が戻ってきてくれ固定客となりその方からご紹介までいただくようになりました。

他にこちらのセールスポイントはありますか?

photo3.jpgハーティヘアー外観当店には、子供が熱を出した、日曜日は休みたい、早めに帰りたい・・・など、美容師としては受け入れられにくい条件の子育て中のスタッフも多くいます。やる気はあっても就職するのは難しかった主婦、また病気がちで通常の勤務は難しいという人もいます。でも、私はそういう条件を考慮しながら、やる気や才能の方を買い、美容師として育成することに力を入れています。そんな姿勢にお客様も共感していただくことが多く、とてもうれしいことだと思っています。

これから開業したいという方へ一言。

何をしたいのか?という動機が一番大事だと思います。それは自分のためではなく、人のために何ができるのか?という気持ちが必要だと思います。私自身、自分のためにきれいになりたいという女性よりは、誰かのためにきれいになりたいという女性を応援したいと思っていますし、そういう方のほうが美しいと思うからです!