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開業体験談 Vol.11「スタッフが独立したらとても悲しいです。でも嬉しい」

inouchi.jpg今回は、ノスタルジックバー双葉屋オーナー、
井内正広氏の独立開業体験談を紹介させていただきます。
開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

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PROFILE

井内正広 / Masahiro Inouchi 
ノスタルジックバー双葉屋 オーナー
昭和46年2月13日 生まれ B型

徳島県小松島市生まれ。亜細亜大学中退、30歳で独立。
30歳まで東京のバーを転々とするが、帰郷。東京に戻るつもりでいたが、知人の紹介をきっかけに開業。
2000年9月に徳島市栄町で開業。
好きなタイプは、「男らしい女性」

COMPANY

ノスタルジックバー双葉屋
徳島県徳島市栄町1-50 言問ビル1階
営業時間/PM8:00〜AM3:00  定休日/不定休

亜細亜大学中退ということですが、その後の職歴、経歴を教えていただけますか。

在学中にバーでアルバイトをしたのがきっかけで、東京にいた12年間で5・6回転職していますが、同じバーテンダーの仕事をしていました。その為に大学を中退してしまうことになったのですが(笑)その他の仕事は一切していません。そして今、徳島に帰ってきて7年になりますね。

帰って来るきっかけは、あったのですか?

photo1.jpg双葉屋内観本当は東京で独立したかったのですが、東京と徳島とは資金面で10倍くらい違います。それでどうしようかと迷っていて、「運を任せよう」ということで占ってもらったのです(笑) それで帰って来ることになりました。

それで30歳で帰って来られたのですね。
独立のきっかけは何ですか?

親には言っていないのですが、その当時すぐに東京に帰ろうと思っていました。だから住んでいたマンションの部屋は、そのままにしていたのです。親としては徳島にいてもらいたかったようでしたが。でもその時に、ある方の紹介で「店をやってみないか」という話を頂いて、それが独立のきっかけになったのです。

以前から、独立したいという思いはあったのですか?

ありましたね。独立したいという思いが強くなったのが、25歳頃ですね。
僕は徳島では、一回も働いたことがありませんでした。だから、全く知らないところで店を立ち上げるということは、今思えばとても怖いことだったと思います。でも、それがまた良かったのだと思いますね。

その時は、どのような気持ちでしたか。

とにかくやるしかないという気持ちですね。もし東京でやっていたら、きっと失敗していましたよ。要するに甘えがあったと思います。12年間、今まで付き合ってきたお客に、来てもらえるという甘えです。

独立する時、一番気になるのが資金面だと思うのですが、資金調達はどのようにされたのですか?

東京での事業となると、資金面での苦労があると思うのですが、僕の場合は、あまり参考にはならないと思います。僕は両親が小松島で商売をしていたので、親の紹介で銀行から借りられましたから。

ご両親が保証人になったのですね。

photo2.jpgそうです。自分の貯蓄といえば借金しかなかったですから(笑)。12年間働いていたのに、マイナスでした。

借入金は、おいくらですか?

400万円です。僕にしてみれば、「こんな額でいいの?」という金額でした。東京で店舗を借りるとしたら、約1500万円は要ります。だから、衝撃でしたね。家賃も、敷金・礼金入れ、店舗改装費など全て入れて、「この位でできるの?」と思いました。

内訳をお聞きしていいですか?

物件費は80万円でした。店舗改装費用は250万から300万円です。残りはお酒の仕入れ費用です。

創業期の売り上げはどうでしたか。

厳しかったですね。最初の1ヶ月間の売り上げは、50万円なかったのではないでしょうか。自分の給料がない状態が2ヶ月くらい続きました。甘えが一切許されなかったから、どのようにしたらお客の層を広げることができるかと、がむしゃらでした。それが徳島でやって良かったところですね。

その時はお一人でなさっていたのですか?

二人です。

軌道に乗ってきたと感じたのは、いつ頃からですか?また、その要因は何でしょうか?

半年くらい経った時からですね。徳島と東京では全く違っていて、東京は一限のお客が非常に多いのですが、徳島では人を大切にするというか、とても友好的なのです。徳島に帰って何を感じたかというと、「お客様一人一人を大切にすることによってお客様が増えていくんだな」ということです。やはり飲食業界での成功は、どれだけリピーターを増やすかということだと思います。

今までで、やめたいと思ったことはありましたか。

photo4.jpgそれはあります。お金が無くても人材があれば、徳島では生きていけます。この仕事に向いている人は、1000人いて5人くらいしかいないのですね。その5人を探すということは、大変なことです。アルバイトのスタッフを探す時は、顔の広い人にお金を渡してでも探してもらいたいですね。せっかく探し出したスタッフが独立してしまったりしたら、とても落ち込みますね。そんな時はやめたいと思ってしまいます。

そのスタッフについているお客様が多いのですか?

はい、そうなんです。スタッフがいなくなると売り上げが下がってしまいますから。だからこそ、人材に一番お金を掛けなくてはならないと思います。

開業してよかったと思うことと、感動したことはありますか?

僕の店から独立していったスタッフは3人います。全て独立しているのです。それが嬉しいかな。独立していった時は本当につらいけれど。
僕は基本的に経験のない人しか雇いません。バーテンダーやっていたという人は雇わないのです。だから、僕の店で育ったスタッフが、独立してくれるということが嬉しいですね。

成功したポイントは何でしょう。

個性というか、他店との違いをアピールしたことですね。

これから独立される方に一言。

独立する時点で怖がる必要はないと思います。あと、自分の背丈にあった会社なり店を作ること。100万円あったら100万円のやり方があるし、1000万円あったら1000万円のやり方があると思いますよ。