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開業体験談 Vol.18「オープン3ヶ月の大変さ、苦しみを超えてこそ今がある」

fujino.jpg今回は、LIFE CONCEPT IEGオーナー、
藤野誠司氏の独立開業体験談を紹介させていただきます。
開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

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PROFILE

藤野誠司 / Seiji Fujino 
ライフコンセプト イエグ オーナー
昭和47年12月8日 生まれ AB型 

徳島県阿波市生まれ。30歳で独立。 
9年間高松の家具メーカーに務める。東京営業所時代には多くの最先端の情報に触れ、刺激を受ける。
2003年10月に徳島市で開業。
座右の銘は、「自分の中で100%の力を出しきっているか自問自答」
好きなことは、「テニス・チョットだけサーフィン」

COMPANY

LIFE CONCEPT IEG
徳島県徳島市佐古1番町8-16谷一ビル1・2F
TEL.:088-626-5711
営業時間:AM11:00〜19:30
定休日:水曜

大学を卒業されてからの、職歴と経歴を教えていただけないでしょうか。

近畿大学を卒業してすぐに、高松の家具メーカー(株)モリシゲに入社し、商品開発部に配属されました。商品開発部というのは、メインは商品開発ですが、家具のデザイン、注文家具の製図、商品を実際にカタログに移すための準備など、地方の中小企業だったので仕事の範囲が非常に多かったのですね。販売のお手伝いで富山県に行って別注家具の取り付けなど、ものづくりの現場で経験させてもらいました。また、家具デザイナーの先生方の間に立って、デザインを形にすることなども学ばせてもらいました。
そこには6年ほど在籍し、その後、東京営業所に3年いました。そこでは営業と東京市場の情報を本社に伝える業務を行いました。代官山に営業所があったのですが、あの頃は代官山アドレス、松島菜々子主演のドラマ「やまとなでしこ」のロケ現場など注目されるエリアだったのです。いわゆる最先端の情報に触れる機会をいただけたと思いますね。東京というエリアはとにかく情報の多い街で、あの頃は自分にとって非常にいい人生の経験を、貴重な経験をさせていただいた期間だったと思います。
9年間会社勤めをして、その後徳島に帰ってきました。それは、長男ということもありましたが、また、会社勤めをしている人はどなたでも考えることだと思いますが、最後まで同じ会社で全うしていくか、独立するかということで、私はたまたま知人や友人の関係や支えがあって、独立という選択肢を選んだのです。

それが独立のきっかけですか?

photo2.jpgそうですね。会社で仕事をしているうちに、段々独立したいという気持ちが強くなっていきました。ちょうど東京では、会社の経営者の二代目とか、事業を起こしている方など、そのような方々と付き合いをさせていただきました。年商600億とか、ニュージーランドにゴルフ場を経営しているとか。そういう方々と酒を一緒に酌み交わす仲になり、その付き合いを通して独立したいという気持ちが強くなったのも事実です。具体的に独立をイメージしたのは25歳くらいだったと思います。そこから、どのように成功させるかということで「開業ガイドブック」など読みましたが、それらは都市向けが多いので地方でスタートさせるには、あまり参考になりませんでした。それで同じような地域を参考にしようと、取引を予定しているメーカーの方に地方のショップオーナーさんを紹介してもらい、そこに出向いてお聞きしたりしました。
それで2003年の5月に徳島に帰ってきたのです。そこから約半年間、物件探しから始まってお金を集め、商品の仕入れも含めて準備し、10月に店をオープンしました。もちろん、会社勤めの時から自分のイメージに近い店に行って参考にしていましたから。住んでいたのが中目黒だったので、インテリアショップなど色々ありましたからね。やはり自分の店作りに、かなり影響を受けました。

独立の時の資金調達はどのようにされたのでしょうか?

半分は自己資金、半分は国金から借り入れをしましたね。
最初は銀行に知り合いが何人かいたので、甘い考えをしていたら門前払いでした。それで国金にお願いしたのです。国金も基本的には、保証人と担保が必要です。実家に農地があったので、それを担保にしようと思いました。しかし農地は担保価値がないということで断られてしまいました。ほんとうに困りましたよ〜でも最終的には実家が洋服店を経営していて「法人保証」という、会社が保障することで借り入れができました。

物件費用家賃とか店舗改装費敷金などはお聞きしてもいいですか。

家賃は20万円ですね。敷金・礼金は、本当は半年分だったのですが、築40年の古い物件だったので3ヶ月にしてもらいました。始めはワンフロアだけだったのですが、雑貨だけだったら15坪でもいいのですが家具もあるので、「絶対30坪は確保しなくてはならない」と思っていました。それで交渉したところ、借りることができたのです。
この店で扱っているものは中高級品なので、対象はそのような価値観を持った方々でしたので、店は市内にしました。それまでに物件は4・50箇所探しました。北島・沖浜・国府・・・。中心から離れれば離れるほど売り場面積は広くなるのですが、果たしてそのような価値観(中高級)を持ったお客様が来てくれるかどうか心配でした。よく店選びでは「どうやって選ばれたのですか」と聞かれるのですが、家賃とか、営業の将来性とか、坪の広さなど、評価基準を点数でつけていったのです。そうすると一番高得点だったのが、ここだったのです。この場所はベストではないけれど、ベターな場所だったのですね。例えば藍住は、新しい物件が多いのですが、坪面積は10坪くらいのものが多いのです。それではとてもやれません。この「30坪」がキーワードでした。それをこの場所はクリアできたのです。確かに一長一短もありますけどね。ワンフロアではないので、必ずスタッフを一人雇わなくてはいけませんし…ワンフロアだったら一人で十分できるんですがね。

ではこちらの内装費は幾ら掛かったのですか?

photo3.jpg美容室のリニューアル時のお写真 リラックスできる空間ほとんどは電気設備費に掛かりました。内装費はそれほど掛かっていません。500万円くらいかな。2階のエアコンは前の物をそのまま使わせてもらえましたので。靴を脱ぐという方式は、女性はヒールによって高さが違ってきますから、靴を脱いで家具の高さを的確に見ていただきたいということで、こうなりました。東京では2店舗くらいそのような方式をとっているのがあったのです。それを憶えていたので、そういうことも出来ると判断がつきました。やっぱりそういう経験が役に立っていますね。

当時の売り上げはどうでしたか?

ひどいものですよ。今もひどいですけど(笑)オープンして3ヶ月は売り上げがのびませんでしたそしたら、3ヵ月後に家具が売れたのですよ。その時は「家具が売れた!」と嬉しかったですね。嬉しかったというより胸をなで下ろしましたね。

やめたいなと思ったことありますか。

何回でもやめたいと思いましたよ。しかしもうやめるわけにはいかない。お届けしているお客さんが何百件とありますからね。売った以上は責任がありますから。オープンする時のパワーと継続していくパワーは違いますね。

3ヶ月間はとても大変だったということですが、それをどのように乗り越えられましたか。

そうですね、国金から借り入れる時、銀行に勤めている知人から「計画通りにはいかないから、返済は、延ばせるだけ延ばしなさい」とアドバイスされました。「よほどの経験者とか、よほど能力のある人以外は、おそらく計画通りには進まない」と。確かにそうですね。それで、当初より返済開始日を開業してから半年後から開始と契約していたことで乗り越えられました。

開業してよかったなと思うことはありますか?

自分の流れで仕事ができるということは、自分の性にあっているから良かったと思いますね。開業してから、ほとんど休みが取れないのですがね〜友人が「好きな仕事をしていていいなあ」と言うのですが、好きな仕事をするためには、我慢しなくてはいけないこともその何倍以上出てきますね。それでも、そういうのも含めて自分で選べるから、休みがなくてもこの仕事を続けることができるのだと思います。僕は休みなしでも半年間でも動ける人間なのです。ただし睡眠はたっぷり必要ですが(笑)5、6時間くらいしか睡眠時間を取っていない方が多いですが、僕は7.8時間は必ず取りますね(笑)。
また、何よりもこの仕事は、納品が一番楽しい時ですね。お客様の喜ぶ顔が見られるし、商売の醍醐味である現金も得られるし、それが一番ファンタスティックな時ですね。

成功したポイントは何でしょう?

photo1.jpgまだ、成功していないので・・・(笑)成功という定義にもよると思うのですが、社会に対してお金を回していくということも社会貢献と言えるのではないかと思います。しかし、まだ自分がそのような段階ではないので、申し訳ないなあと思っています。
まだまだ「イエグ」の店は県内の人に知られていませんが、これからが可能性の探求というか、自分自身の挑戦というか、自己アピールの機会だと思っています。
心は錦ですかね。

これから独立される方に一言。

自分が店を立ち上げた時の苦しみは、目をつぶったら思い出します。そして、それを何とか乗り越えたと思ったら、今度は継続していく苦しみが出てきます。もちろんそれは今も続いています。しかし起こりうる全ての事を、自分の責任としてやっていかなければなりません。例えば、商売していると自分の過失ではなくてお客様にご迷惑をお掛ける事が起こりうるのです。それでも仕事を請けた以上は、その責任は自分にあると真摯に受け止めて、越えていかなければなりません。規模の大小関わらず、店をオープンしたいという人が尋ねて来ますが、その人たちが一つひとつ越えていけるよう、自分も協力していきたいと思っています。皆さんがんばって!