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開業体験談 Vol.24 「年齢を重ねるほどに味がでる、そんな職人になりたい」

minakuti.jpg今回は、ブーランジェリーエムズセーヌ
水口信雄氏の独立開業体験談を紹介させていただきます。
開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

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PROFILE

水口信雄 / Nobuo Minakuchi 
ブーランジェリー エムズセーヌ
オーナー
昭和41年12月13日 生まれ B型

徳島県徳島市生まれ。32歳で独立。 
城東高校卒業後様々な職種を転々としたあと、某有名パン屋で10年間勤める。できるパンの種類が増えるうちに段々と自分で全てをこなしたい、との想いが強くなり、独立を決意。 
1999年3月に徳島市で開業。 
座右の銘「報恩と感謝の心」 
好きなことは、「パンを食べること」

COMPANY

ブーランジェリー エムズセーヌ 
徳島県徳島市川内町榎瀬495
TEL.:088-665-6033
営業時間:AM8:30〜19:00
定休日:火曜

独立前の職歴、経歴を教えていただけないでしょうか?

photo3.jpg全部は憶えていないほど、たくさんの業種の仕事をしました。ペンキ屋、配送業、鉄工所、土建業、生命保険の営業など、中には2日間で辞めたところもありますね。その中で、パン屋だけは10年くらい勤めました。パン屋の経験があって、独立ができたのです。

どんなきっかけで独立されたのですか?

入社して、最初はパンを焼くだけでした。それから、いろいろ出来るようになり、段々自分で全てをやってみたいと思うようになりました。それが入社してから8年くらい経った時でした。「好きなパンだけ作っていたい」という思いが出てきたのです。誰でもそこで「会社に残ってパンを作るか、それとも独立するか」と考えると思うのですが、僕は独立する方を選んだのです。

独立の時の資金は、どのようにされたのでしょうか?

銀行から借り入れと自分の貯金を当てました。貯金は資金の2割くらいで、あとは銀行ですが、両親に保証人になってもらい借り入れをしました。

創業時の、物件費などは幾ら掛かったのでしょうか?

家賃は、駐車場も込みで9万円です。改装費は、650万円くらいかな。設備費は中古品ばかりだから、はっきりとは言えないですね。

創業期の売り上げはどうだったでしょうか?

最初は、良かったですよ。

辞めたいなとか、駄目だと思うことはありましたか?

どうしてもサラリーマン時代と比較してしまいますね。会社員の友達と比べたら、待遇とかお金など、これでいいのだろうかと思ってしまいますね。近所に有名な会社に努めている人がいるのですが、そのような人と比較すると、どうあがいても待遇とか金銭面では敵いません。自由もないし、きつい仕事だし。そのようなことを考えると、嫌になることもあります。 そんな事を今でも思うこともあります、でも辞めたいとは思いません。正確には、もう諦めたということでしょうか。最近「もう引き下がる事はできない」と、改めて覚悟しました。

どのように乗り切られましたか?

photo1.jpg僕はパン作りの職人になりたいのですね。刀職人とか、大谷焼きの職人は、年を重ねれば重ねるほど、味のある作品を作りますね。中には人間国宝になる人もいます。しかし今のところ、パン作りでそのような人はいませんね。パンの職人になって、80歳でも現役で働きたいと思っています。そんな夢があるから乗り切ることができたのだと思います。

開業してよかったなと思うこと、感動したことはありますか?

当たり前のことだけれどもお客様に「おいしい」と言ってもらえた時、開業してよかったと思いますね。

成功のポイントは何でしょうか?

成功したとはまだ思っていません。失敗したとも思わないけれど、成功したとも言えません。でも、開業しなかったほうがよかったとは思いません、開業してよかったと思いますね。

これから独立される方に一言お願いします。

photo2.jpgパン屋で独立することは大変です。だから、自分の限界以上頑張る必要はないと思います。本当に駄目だと思ったら、すっぱり辞める潔さも必要ではないでしょうか。でも、そのようなことは言うべきではないかもしれませんが。他人にアドバイスするというのは難しいですね。(笑)

最後に、パンに対する思いを教えてください。

僕は本当にパンが好きです。パンを作る技術に関しては、僕より優れた人は大勢いると思いますが、パンを食べるのが好きだということは、誰にも負けないですよ。僕ほどパンを好きな人間は中々いません。だからパンを作ることが喜びなのです。