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開業体験談 Vol.35 「自分が納得した店のかたち、周りに媚びず作り続ける」

komura.jpg今回は、アローインターナショナル(有) オーナー 、
小村俊一氏の独立開業体験談を紹介させていただきます。
開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

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PROFILE

小村俊一/Syunichi Komura 
アローインターナショナル(有) オーナー 
昭和24年10月24日 生まれ B型 

徳島県徳島市生まれ。27歳で転進、本格的に独立したのは50歳で 海外のショップを見て回るためと渡航回数は100回を超える。
公務員から電気屋に転身、その後文具の卸を経て、万年筆専門店を開業。足を一歩踏み入れるだけで独特な雰囲気のある素敵なお店は、店主のメーカー任せではない『こだわりのある店』作りの心意気が、成せる業なのでしょう。 
2000年2月に徳島市で万年筆専門店を開業。 
趣味は「万年筆、写真、音楽」

COMPANY

アローインターナショナル(有)
徳島県徳島市寺島本町西1-59
TEL.:050-5551-4941
定休日:火曜日 
URL  http://www.arrow-int.com/

独立する前の職歴、経歴を教えてください。

26歳まで、某国営企業に勤めていました。その後27歳で独立それからは国家試験関係の勉強をしたり、電気工事、ガス設備士などいろんな免許を取ったりしながら、電気屋として販売から工事など全て請け負うような仕事をしたり、アップル、IBM、キャノンなどのコンピュータ、文具の卸などもしていました。

こちらのお店を開店されたのはいつ頃になるのでしょうか?

ここのお店の前にシティで1年くらいやっていたのですが、ここにお店を出したのは2000年ですので、8年目になります。

独立するきっかけはなんだったのでしょうか?

photo2.jpg独立する前は公務員だったわけですが、公務員の制度はいつか破綻するのではないかと思っていました。今もって存続はしていますけど、公金横領の事件などがたくさん出ているでしょう?これが20年前にそうであったなら、日本はもっとよくなっていたでしょうね。
そんな世界に身を置くよりは、自分で何か商売をしていたほうがいいだろうというふうに考えて、独立の道を選択しました。中学生の頃から、いつか日本はだめになると思っていましたよ。今となっては、海外に出たほうが良かったのかなとも思います。

ではこちらで独立するときの資金調達について教えてください。

自己資金で3000万円強くらい用意しました。

3000万円ですか!!すごい金額ですね!

日本が企業家を育てる土壌にないと思うのは、会社を作る前の資金調達が難しいというところですね。小切手にしても、1年間法人登記して、その後やっと使えるようになるわけです。日本はあまり起業家を応援する体制ではないと思うんですね。だからこれくらい僕の場合はかかりましたね。 銀行は利息の計算税務関係は税金の徴収が目的で起業のサポートをするシステムは無いに等しいと思います。

では資金の内訳は?

備品と内装で500万円くらいです。店舗のクロスなんかの貼り替えからしたとしたら一千万円くらいは掛かるでしょうけど、まだ借りる時の状態はきれいでしたので、その必要はありませんでしたから。礼金1ヶ月、敷金は6ヶ月くらい。あとは仕入れですね。それに3000万円以上掛かっていますよ。だってあの棚にならべてある瓶に入ったインクだけで100万円超えますし、レフィルが100万円・・・消耗品類だけでも300万円くらいになりますから。

かなりの資金が必要だったんですね。

photo3.jpgまともに開業しようと思うと、これくらいは掛かりますね。そうでなければ、半年ぐらいで閉めることになりますよ。テナントを借りるだけでそれ相当の資金が必要ですしね。開業するとき、何もかもメーカーに任せる方法をとるのであれば、たちまちのお金は要らないですけどね。看板、ショーケースなど什器の設置や商品の選択なんか全てメーカーさんがやってくれるわけです。でもそうすると、自分が好きな商品を置くことはできないですよね。画一的な店の作りになってしまいますよね。僕はそんな店をしたくなかったんです、本当に自分が気に入ったものをメーカーに関係なくショーケースに入れたいですしね。一流と云われるメーカーでもお勧めしたくない商品もありますからね。

開店当時の売上げはどうだったでしょうか。

当然、少なかったですよ。(笑)買ってください〜!というような商売はしていませんからね。いい物だったら買ってくれますし必要な物は買ってくれますよね。だからタウン誌に広告を出したりもしていません。ただNHKや共同通信社などに友人、知人がいましたので、そんな関係で取材を受けたりはしました。

辞めたいと思ったりしたことがありますか?

思いませんでしたね。僕は毎日がいい。24時間満足しています。せっかくお店を出すんですから、自分が納得した店作りをしていったらいいだけだと思うんです。メーカーの言いなりになったり、他に媚びたりするのではなくてね。こうしないといかん、ああしないといかん、そんなふうに考えることを止めたらいいんですよ。

インターネットでの販売もされていますね。

photo1.jpgインターネットを始めて5年で年間100万件のアクセス数を超えました。今ではもう世界中でお店を知ってくれているので、認知からいうと逆にインターネットは必要ないんですけどね、でもお客さんは県内の方が全体の1割くらい、あとは県外ですし、海外からの注文もありますので、その点では必須アイテムですかね!
しかし好きな人は遠方からわざわざやって来ますし電話や手紙での問い合わせも多くあります。僕がいいと思う物、必要だと思う物を仕入れているだけなんですがね、うれしい事ですね!(ニッコリ)20万円、30万円するようなペンがびっくりするくらい売れますよ!
インターネットの場合、希少な物についての優位性ももちろんですけど、値段と数、これがまずありますよね。ただ徳島ではこの商売は不利ですよ。倉庫を持つことになりますからね。東京、大阪のような大都市であれば倉庫はいらないでしょう?注文があってからメーカーの倉庫に受け取りに行けば、即日間に合う。徳島ではそうはいきませんからね。2〜3千円の物が品切れしたからといって送ってもらうと送料も掛かりますし、太刀打ちできませんよね。

では独立する人へ一言お願いします。

若い人は特に海外にでたほうがいいと思います。商売は日本じゃないほうがいいですね。やりたいことがあったらやったらいい。それだけ。成功するとか成功しないとかそんなのは関係ないですよ。商売をしたかったら始めたらいいですし、こうなったから成功だとかそんなのはない。心のままに行動してみてはどうでしょう。
人それぞれ違うわけですからね、私と同じことやって同じようにできるかというとそうじゃないと思いますよ。大事なのは、開業するまでに本腰を入れて商品について学ぶこと、開業後も商品知識と情熱を持っていないと商売はできません。あとは経験。十分な商品知識を持ち、経験を積むのには時間が掛かりますけどね。下積みを重ねることが必要ですね。でっち奉公が必要ですかね(笑) 
私はお客様に満足を与えるのが優先で儲かるかどうかなんて考えている暇はないから商売人としては失格であります。 また公務員が持て囃される時代はタックスイーターばかりで明るい未来は見えないとも思います。だから未来の為これから開業される方には頑張ってほしいですね!